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なべさんのやさしいばね講座「たかがばね、されどばね」

第4講「ばねの歴史」

ばねの歴史についてお話しましょう。
古代のばねを代表するものに弓があります。弓は竹で作られていました。
その弓に弦を張り、弓の力を利用して弦につけた矢を遠くまで飛ばし、古くは猟師の生活を支え、源平時代には代表的な兵器として活躍したことは皆様ご存知のとおりです。
このために竹材の採取に関してはその時期・乾燥法・熱処理法などが守られ、今でも竹梯子の製作技術に利用されています。

弓による古代の狩猟の様子

 国宝 銅鐸に描かれた古代の狩猟 *1

さて、隣の中国は漢字の国で、一番良い竹材、特にばねに利用する竹材を弾簧(ダンフォン)といい、字では“竹かんむり”に“黄”と書きます。
なるほど、黄色の竹は青竹や茶竹と違い、ばねに利用するにはちょうど良い強さを示しているようです。
まさに中国は漢字の国です。

 

ところで、“ばね”の語源はどうなっているのでしょうか?
ばねの語源は“ばね”すなわち“はね(跳ね)”とされています。
この仲間には“ねじ”があります。ねじは“ねじる”が語源です。
“ばね”と“ねじ”は日本語。したがって、ばねはJISではひらがなで明記するようにしています。この点においては“ばね”も“ねじ”も同じといえます。
“ぜんまい”は山菜のぜんまい、“つるまきばね”のつるまきはヘチマやキュウリのつるの形状に似ているところから名付けられたものです。

 

ばねにはもう一つ語源があります。鋼(はがね)の“かね”がにごって“ばね”になったという説です。
鋼はもともと器械類の原材料です。ばねも大小のばねが鋼から作られていたということを考えると、この説も簡単に捨てるわけにはいきません。

 

日本におけるばねの発展史はどうなっているのでしょうか?

◇ 乗物
わが国の発明品*2である人力車は、明治3年にばね付が考案され、明治4年には1万台、明治7年には 2万台となり、今でもばね入りの人力車が名所旧跡地で活躍しています。
◇ 自動車
昭和初年から戦前、戦中、戦後を通じて発展してきました。
今日では世界的な自動車生産国で、ばねの優秀な生産国です。
◇ 鉄砲
1543年に種子島に漂着したポルトガル人により鉄砲を譲り受けました。
これが多量に作られたのは30年後の織田信長時代です。
30年も開発が遅れたのは、火縄銃の点火法に“はじきがね”または“するめ(全舞)”という方式があり、この薄板押さえばねの製造に手間がかかったためです。
この点において、織田信長こそ“日本のばねの神様”というべきです。
信長がばね会社の神棚にあるとは驚きです!!

今日はこれまで。

 

*1 伝香川県出土の銅鐸(弥生時代中期、国宝)に描かれてる絵画をイラスト化
絵画の出典: 東京国立博物館WEBサイト http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/2014/01/31/

*2 人力車の起源は1868年頃、明治初期の日本であると考えられている
出典:有限会社 力舎本店 WEBサイト http://www.rikisha.net/history.html