ばね定数は “ばねに単位変位量(たわみ又はたわみ角)を与えるのに必要な力又はモーメント” と定義されている通り、ばねの特性を示すもので荷重―たわみ線図に代表されます。
図8に示したものはその一例で、荷重とたわみが正比例する関係、いわゆるフックの法則*1がばね荷重の特性の基本となります。
しかし、等ピッチ圧縮コイルばねやトーションバーなどの一部のばねを除くと、ほとんどのばねは荷重―たわみ関係が正比例になりません。
いわゆる非線形ばね*2になっています。
重ね板ばねにおいて線図がループを描くのは板間摩擦によるものになります。
反対に、直線で示されるものを線形ばねと呼びます。
また、自動車のエンジン用バルブスプリング(弁ばね)のように、サージング(一種の共振現象)を避ける目的で意識的に不等ピッチにして非線形にした実用例は案外多くあります。
以上のように、荷重―たわみの関係はフックの法則に従わないばねも多いが、ミクロ的な応力とたわみの関係に注目すると正比例の関係にあり、フックの法則は満足されています。
したがって、ばねの設計においては荷重特性が基本となりますが、耐久性や耐へたり特性を考える場合は応力に留意すべきです。
今日はこれまで。
*1 フックの法則
1678年に英国人フック(Hooke)は初めて、弾性限度内において応力とそれによって生ずるひずみは正比例の関係にあるという法則を発表した。ちなみに日本では赤穂浪士のあだ討ち(1702 年)の頃である。弾性の法則ともいう。
*2 非線形ばね
荷重―たわみの関係が線形(直線)でなく非線形になるばねで、有効巻数やスパン(板ばねの荷重支点間の距離)など、ばね特性を支配する因子が変化するばね。